*Fusionboxはメーカーにより製造中止となりました*
Erica SynthsのFusionboxはBBD素子を中心としたアナログエフェクト(ディレイ、フランジャー、コーラス)と、サウンドに厚みを与えるためにディレイアウトプットおよびフィードバックパスに真空管オーバードライブをかけ合わせた独自多機能エフェクトユニットです。
特長
- ディレイ&フランジャーエフェクト
- ヴィンテージなアンサンブルステレオエフェクト
- ディレイアウトプットおよびフィードバックパスに真空管オーバードライブを搭載
- FXインサーションコネクタ
- フットスイッチコネクタ
- 2 x BBD素子(1024および4096ステージ)
- パッシブローパスフィルター(超低音のサブベースサウンドのために)
Fusionboxに搭載されているフィルターは完全な通過状態からディープな低音感を演出するための極端な設定まで広いレンジで動作します。現代のストンプボックスやエフェクトユニットにはない特別な機能は「ヴィンテージ・ステレオ・アンサンブル」でしょう。
「ヴィンテージ・ステレオ・アンサンブル」とは、ほとんどすべてのブランドやメーカーの多くが開発した往年のヴィンテージシンセサイザーで見られる「ステレオ・アンサンブル」を意味します。
ステレオアンサンブルエフェクトは、発音を遅らせてフィルターなどで処理された音を、片方のチャンネルの位相を反転し他方の位相はそのままの状態でモノラルの原音にミックスすることで作り出しています。これにより一般的なコーラスエフェクトとは異なる独特で動きのあるユニークな効果を特徴としています。
しかしながらステレオ信号で逆位相を取り扱うには注意すべき特定の特性もあるのです。たとえば、このようなステレオ信号を旧式の"サラウンド"デコーディングサウンドシステムに接続すると、背面のサウンドチャンネルに割り振られてしまう場合があります。また、モノラル信号に変換した場合はエフェクトの効果自体が消えてしまうということもあります。これはモノラルのサブウーファーシステムや間隔が狭すぎる配置のステレオスピーカーでも起こりえます。この現象は正常な動作で、同じようにヴィンテージステレオアンサンブル処理においても発生しうるものです。
こういった仕様によってモノラルミキシングの際に発生する奇妙な問題が望ましくない場合の解決策として、出力チャンネルの片方のみを使用したり、左右のチャンネルで異なるアンサンブル処理をおこなうといったものがあります。
Fusionboxには入力ゲインコントロールが搭載されています。つまり、ギターのように信号レベルの低い楽器からシンセサイザーやグルーヴボックスといったラインレベルの機器はもちろんのことモジュラーシンセサイザーなど幅広い機材とともにご使用いただけます。
Fusionboxはフットスイッチによるエフェクトのオン/オフにも対応しているためギタープレイヤーにも最適な機材と言えるでしょう。
技術仕様
入力信号レベル | 最大20V ptp |
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入力ゲイン増幅 | 最大+48dB |
電源入力仕様 | 100〜220V |
重量 | 0.7kg |
外形寸法 | 185 x 140 x 55 mm |
よくある質問
Fusionboxの出力のノイズが大きすぎる気がします
Fusionboxに搭載されているモジュレーションディレイは、BBD(バケツリレー素子)で構成されており、これは"アンサンブル"、"ステレオシンフォニック"、"コーラス"と言ったエフェクトにはあらゆる場面で不可欠な部分でした。
これらのICチップはそれぞれ型番ごとに一定量のディレイタイムを提供しますが、ディレイタイムが長いほどノイジーで非リニアな特性になっていく傾向があります。
これらのICチップで規定範囲よりも長いディレイタイムを設定するとディレイ音はより低音質になっていきます。
それに対してデジタル・ディレイは非常にクリーンで透明感のあるサウンドですが無味とも言えます。離散化したアナログメモリセルはダークでローファイなザラザラとした質感を持っています。
ディレイタイムを短く設定して(つまり高いサンプルレートで処理する)、さらにBBDチップを等倍動作させるとチップの持つ性能を最大限に発揮させることができます。
BBDを搭載したほとんどすべてのヴィンテージ楽器は、BBDを高いサンプルレートで動作させており、非常に短いディレイタイムが設定された"ステレオアンサンブル"エフェクトとしての利用に留まっています。
また、このような機器の多くは、隠された出力ミュートやノイズゲートといった回路を搭載しています。たとえばVCAが最小の音量になったときに出力をミュート(ゲーティング)するといった構成です。
また、そういったアンサンブルエフェクトを備えたヴィンテージ機器のほとんどはディレイアウトに周波数固定のローパスフィルターを搭載しておりノイズをフィルタリング処理していました。
このエフェクトユニットでは、COLORノブを使用して非常にダークなフィルタリングからフィルタリングされていない状態まで自由に調節することができます。
そして、これらのBBDチップの典型的なゲーティングが施されていないサウンドを提供するとともに比類ない幅広いディレイタイムの変動を可能にしています。
もしアイドル時のノイズが不要なら別途ノイズゲートをご用意ください。
フィードバック量を増やすとノイズが大幅に増加し、ディレイをロングモード(BBDステージを追加)にすると、オーバードライブ回路も相まって極端なエッジの効いたサウンドが得られます。
このことからわかる通り、ざらついたノイズの多いキャラクターを維持することが、むしろこのエフェクトユニットの存在意義として大きな意味合いがあります。